Difyとは — ノーコードでAIアプリを作れるオープンソースプラットフォーム
Dify(ディフィ)は、プログラミングなしでAIアプリケーションを開発・運用できるオープンソースのプラットフォームです。チャットボット、RAG(検索拡張生成)アプリ、AIエージェント、業務ワークフローなどを、ドラッグ&ドロップの画面操作だけで構築できます。
OpenAI(GPT-4o)、Anthropic(Claude)、Google(Gemini)、Meta(Llama)など主要なLLMに対応しており、用途に応じてモデルを切り替えられるのも特徴です。2026年3月にはシリーズPre-Aで3,000万ドルを調達し、エージェント機能やエンタープライズ向け開発を加速させています。
Difyでできること — 4つの主要機能
1. チャットボット作成
社内FAQ、カスタマーサポート、問い合わせ対応など、用途に合わせたチャットボットをノーコードで作れます。プロンプトの設定と公開用URLの発行だけで、すぐに利用可能です。社内ドキュメントをアップロードすれば、RAG対応のチャットボットに進化させることもできます。
2. RAGパイプライン(ナレッジ機能)
PDF、Word、テキストファイルなどをアップロードし、AIが参照できる「ナレッジベース」を構築できます。アップロードしたドキュメントを自動でチャンク分割・ベクトル化し、質問に対して関連箇所を検索して回答を生成します。社内マニュアルや製品仕様書をもとに、正確な回答を返すAIアシスタントを作るのに適しています。
3. ワークフロー(業務自動化)
複数のAI処理を視覚的につなげて自動化フローを構築できます。たとえば「テキストを受け取る → 要約する → 分類する → 結果をAPIで外部に送る」といった一連の処理を、ノードをつなぐだけで設計できます。条件分岐やループも対応しており、複雑な業務ロジックも実装可能です。
4. AIエージェント
ツール呼び出し(Web検索、計算、外部API連携など)を組み合わせた自律的なAIエージェントを作れます。単なるチャットではなく、AIが自分で判断して複数のツールを使い分け、タスクを完了させる仕組みです。
Difyの始め方 — アカウント作成から最初のアプリまで
Difyはクラウド版(dify.ai)を使えば、インストール不要で即座に始められます。以下の手順で最初のAIアプリを作ってみましょう。
ステップ1:アカウントを作成する
Difyの公式サイトにアクセスし、「Get Started」からアカウントを作成します。Googleアカウントでのサインアップにも対応しています。無料のSandboxプランで始められるため、クレジットカードの登録は不要です。
ステップ2:新しいアプリを作成する
ダッシュボードの「アプリを作成」をクリックし、アプリの種類を選びます。初めての場合は「チャットボット」を選ぶのがおすすめです。アプリ名と説明を入力し、使用するLLMモデルを選択します。
ステップ3:プロンプトを設定する
「プロンプトを編集」画面で、AIの役割や回答ルールを設定します。たとえば「あなたは〇〇社の製品に詳しいサポート担当です。質問には丁寧に、簡潔に回答してください」のように書きます。右側のプレビュー画面でリアルタイムに動作を確認できます。
ステップ4:公開して使う
設定が終わったら「公開」をクリックします。共有用のURLが発行され、ブラウザからアクセスするだけでチャットボットを利用できます。Webサイトへの埋め込み用コードやAPI経由での利用も可能です。
実践:社内ナレッジに答えるRAGチャットボットを作る
Difyの真価が発揮されるのが、RAG機能を使ったナレッジベース連携です。社内マニュアルや製品FAQをもとに回答するAIアシスタントを作ってみましょう。
ステップ1:ナレッジベースを作成する
左メニューの「ナレッジ」から「ナレッジベースを作成」をクリックします。名前を付けたら、PDFやテキストファイルをドラッグ&ドロップでアップロードします。Difyが自動でテキストを抽出し、チャンク分割・ベクトル化を行います。
ステップ2:チャットボットにナレッジを接続する
先ほど作成したチャットボット(または新規作成)の設定画面で「コンテキスト」セクションを開き、作成したナレッジベースを追加します。これで、AIはアップロードされたドキュメントの内容を参照して回答するようになります。
ステップ3:回答精度を調整する
プロンプトに「ナレッジベースに情報がない場合は「その情報は見つかりませんでした」と回答してください」と追記すると、ハルシネーション(事実と異なる回答)を抑制できます。検索の類似度スコアのしきい値を調整することで、回答精度をさらに細かく制御できます。
料金プラン — 無料から始めて段階的にスケール
Difyはクラウド版とセルフホスト版の2つの提供形態があります。
クラウド版
Sandbox(無料):メッセージ200件まで。Difyの機能を一通り試すのに十分です。個人の学習や検証用途に最適。
Professional(月額59ドル):メッセージ5,000件/月、チームメンバー3名、アプリ50個、ナレッジドキュメント500件。小規模チームや本番運用の入り口。
Team(月額159ドル):メッセージ10,000件/月、チームメンバー無制限。チーム開発やマルチプロジェクト運用に対応。
セルフホスト版
Community(無料):オープンソース版。DockerまたはDocker Composeで自社サーバーに構築可能。メッセージ制限なし。技術者がいる組織で、データを自社環境に置きたい場合に適しています。
まずはSandboxプランで試し、本番運用時にProfessionalへ移行するのがおすすめです。料金やプラン内容は変更される場合があるため、詳細は公式サイトでご確認ください。
Difyを使いこなすための3つのコツ
テンプレートから始める
Difyには「テンプレートから作成」オプションがあり、FAQ対応、文章要約、翻訳アシスタントなど、よくあるユースケースのテンプレートが用意されています。ゼロから設計するよりも、テンプレートをカスタマイズするほうが早く実用的なアプリを作れます。
ワークフローで段階的に複雑化する
最初はシンプルなチャットボットから始め、慣れたらワークフロー機能で処理を拡張していくのが効果的です。いきなり複雑なフローを組むと、どこで問題が起きているか特定しづらくなります。
モデルを使い分ける
すべてのやり取りに高性能モデル(GPT-4oやClaude)を使う必要はありません。分類や要約にはコスト効率の良いモデルを、最終回答の生成には高精度モデルを使うなど、ワークフロー内でモデルを使い分けることでコストを最適化できます。
まとめ — まず1つ、AIアプリを作ってみよう
Difyは、ノーコードでチャットボット、RAGアプリ、AIワークフロー、エージェントを構築できるプラットフォームです。無料プランでも主要機能を一通り試せるため、学習コストを抑えて実践に入れます。
まずはSandboxプランでアカウントを作り、チャットボットを1つ公開してみてください。「AIアプリを自分で作れた」という体験が、次の自動化アイデアにつながります。社内の業務課題と組み合わせれば、問い合わせ対応や情報検索を大幅に効率化できる可能性があります。