DifyとGPTsとは — どちらもノーコードでAIアシスタントを作れるツール
DifyとChatGPT GPTs(ジーピーティーズ)は、どちらもプログラミングなしでAIアシスタントやチャットボットを作成・公開できるツールです。しかし、対象ユーザー・機能の深さ・使えるAIモデル・価格体系が大きく異なります。
「どちらを選べばいいか分からない」という問いへの答えは、用途の複雑さとチームの規模によって変わります。この記事では両者の特徴を具体的に比較し、選択基準を整理します。
機能比較 — Dify vs GPTs
主要な比較軸を以下にまとめます。
対応AIモデル
GPTsはOpenAIのモデル(GPT-4o、GPT-4o miniなど)のみ使用可能です。一方Difyは、Claude(Anthropic)、Gemini(Google)、GPT-4o(OpenAI)、Llama(Meta)など複数のLLMを切り替えて使えます。特定のモデルに依存したくない場合やコスト最適化を狙う場合、Difyに優位性があります。
RAG(外部ドキュメント参照)
GPTsは「ファイルをアップロードしてAIに参照させる」機能(Knowledge)を備えていますが、ベクトル検索の詳細な設定はできません。Difyは独立した「ナレッジベース」機能を持ち、チャンク分割の粒度・類似度スコアのしきい値・埋め込みモデルの選択などを細かく調整できます。大量のドキュメントをRAGで扱いたい場合はDifyが有利です。
ワークフロー・自動化
GPTsは「指示(System Prompt)+ツール呼び出し」の範囲に収まります。Difyはワークフロー機能で「入力 → 分類 → 要約 → 外部API送信」のような複数ステップの処理を視覚的に組め、条件分岐・ループにも対応します。定型的な業務フローを自動化したい場合はDifyが適しています。
公開・共有
GPTsはChatGPTのGPTストアで公開できるため、広く使ってもらいやすい設計です。Difyは発行されたURLを共有するか、APIとして自社サービスに組み込む形になります。一般公開を優先するならGPTs、内部ツールや組み込みを優先するならDifyが向いています。
コスト構造
GPTsの作成・利用にはChatGPT Plus(月額20ドル前後)またはTeam/Enterpriseプランへの加入が必要です(料金は変更される場合があるため詳細は公式サイトでご確認ください)。Difyは無料のSandboxプランで始められ、クラウド版のProfessionalプランは月額59ドル前後、オープンソース版はサーバー費用のみで利用可能です。
GPTsの強み — 手軽さとOpenAIエコシステムの広さ
GPTsが優れているのは、設定の手軽さとユーザーへのリーチです。ChatGPTのアカウントがあればすぐに作成でき、プロンプトを書いてファイルをアップロードするだけで公開準備が整います。
また、ChatGPT Plusユーザーであれば、GPTストアに公開した自作GPTを不特定多数に使ってもらえます。外部に向けたAIサービスの試作や、ChatGPTユーザーコミュニティへの配布に向いています。
さらに、OpenAIが提供するブラウジング、DALL-E、コードインタープリターなどの組み込みツールをワンクリックで有効化できるのも利点です。
Difyの強み — 拡張性とマルチモデル対応
Difyが優れているのは、組織内部で使う本番AIツールを作り込む場面です。RAGパイプラインの精度調整、複数モデルの使い分け、ワークフローによる業務自動化、APIでの外部連携など、エンタープライズ寄りの要件に対応しています。
セルフホスト版を使えばデータを自社サーバーに留めることができ、情報セキュリティポリシーが厳しい企業でも導入しやすくなります。また、GPTsと異なり特定のAIプロバイダーへのロックインがないため、モデルのコストやパフォーマンスに応じて切り替えが可能です。
用途別の選び方
個人・副業での利用
すでにChatGPT Plusを使っている場合、追加コストなしにGPTsを試せます。プロンプトを工夫して自分専用のアシスタントを作るところから始めると、学習コストが低く実用性を早く実感できます。
チームでの社内ツール開発
社内ドキュメントをRAGで参照させたい、複数メンバーが共通のAIアシスタントを使いたい、という場合はDifyのクラウド版が適しています。Professionalプランであれば最大3名のチームメンバーを招待でき、アプリ管理を共同で行えます。
法人での本番運用
データの自社管理、複数部署への展開、既存システムとのAPI連携が必要な場合はDifyのセルフホスト版が有力な選択肢です。IT部門が関与するレベルの導入であれば、DifyのEnterprise版も検討対象になります。詳細は公式サイトでご確認ください。
まとめ — 判断基準は「手軽さ」か「拡張性」か
GPTsは「すぐに試して広く届けたい」、Difyは「組織内で使い込む本番ツールを作りたい」という場面にそれぞれ向いています。どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、目的と規模によって使い分けるのが合理的です。
まずGPTsで作りながら要件を明確化し、規模拡大やセキュリティ要件が生じたタイミングでDifyへ移行するというステップも現実的な選択です。どちらもノーコードで始められるため、まず手を動かして比べてみることをおすすめします。